桜沼文工楼

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在りし日のJK

私の同級生には少し風変わりな女子がいる。

名前は分からないのだが、前髪が半分だけ顔を覆い隠す程に長く、鬼太郎スタイルで色褪せた茶色い表紙の本を図書館で読んでいる。

それにいつも暗い顔をしており、特徴的な髪型と見事に調和してミステリアスというより妖気に近いものを放っているのである。

決して美人ではないのだが、そんな誰とも話さず何にも染まらない彼女に私はある種の好意を抱いていた。

そして本日、その娘のいるクラスの合同の補習授業があり、勇気を出して何を読んでいるのか聞いてみた。

夏目漱石彼岸過迄だった。